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レジスタントスターチが腸内細菌(ルミノコッカス)のエサに!
近年、腸内環境への関心が高まる中、腸内細菌にも注目が集まっています。その腸内細菌の一種であるルミノコッカスのエサとなるのが、レジスタントスターチです。
本記事では、そのレジスタントスターチの特性や含まれる食材について詳しくご紹介します。
レジスタントスターチとは何か?
レジスタントスターチは、難消化性デンプンと呼ばれています。以前は、摂取したデンプンは、小腸で完全に消化されるものと考えられていたため、デンプンは単にエネルギー源としてのみ評価されていました。しかし、近年デンプンの一部は消化されずに小腸を通り過ぎ大腸に運ばれることが明らかになり、大腸まで届いたものがレジスタントスターチ(難消化性デンプン)です。 大腸まで運ばれたレジスタントスターチは、ルミノコッカスのエサとなります。
*出典:レジスタントスターチの栄養・生理機能 日本調理科学会誌 Vol. 47,No. 1,49~52(2014) 海老原 清
レジスタントスターチ(難消化性デンプン)を図に表すと下記となります。

*出典:レジスタントスターチの栄養・生理機能 日本調理科学会誌 Vol. 47,No. 1,49~52(2014) 海老原 清
レジスタントスターチには4種類ある
レジスタントスターチは、状態や構造の違いにより4種類に分類されています。RS1:パスタ(粉砕が不十分な穀粒)などに含まれるデンプンで消化に時間がかかります。
RS2:2種類あり、1種類目は、未熟バナナや生ジャガイモ(調理や糊化されていない生デンプン)などのBタイプの結晶構造を持ったデンプンです。2種類目は、アミロース含量が高く粘り気が弱いデンプンです。
RS3:一度調理などを行い、糊化したデンプンを冷却したデンプンで食品への利用はあまりされていないです。
RS4:スナック菓子や冷凍食品などの加工食品に含まれているデンプンです。
詳細は下記の表になります。
レジスタントスターチの種類、性質、食品中の例 | |||
種類 | 性質 | 食品中の例 | |
RS1 | 粉砕が不十分な穀類や豆類のように細胞壁内に包み込まれているため,物理的に消化酵素が作用できないもの | 全粒穀物、精製度の低い 穀物、デンプン密度の高い食品(パスタなど) | |
RS2 | RS2a | アミロース含量は高くないが、Bタイプの結晶構造をもち、調理や糊化されていない生デンプン。 調理や糊化によって消化されるようになる。 | 未熟バナナ(グリーンバナナ)、生ジャガイモ |
RS2b | アミロース含量の高いデンプン(高アミローススターチ)注 1) | 高アミローストウモロコシデンプン,高アミロース米デンプン,これらを 添加した食品 | |
RS3 | 一旦糊化したデンプンを冷却放置したときに形成されるデンプン | 老化デンプン | |
RS4 | 酵素的,物理的,化学的な加工を施したデンプン (加工デンプン) | 加工食品(スナック菓子,パン,冷凍食品,麺類,タレ,ドッレシングなど) |
「注 1)種子貯蔵デンプンは、アミロースとアミロペクチンの 2 つの成分からなっている。アミロースは、単糖の一種であるグルコースが α-1, 4 結合で重合した直鎖の多糖で、分子量は数千から数十万といわれている。一方、アミロペクチンは α-1, 4 結合のグルコース鎖が、さらに α-1, 6 結合で分岐構造を形成した高分子化合物である。多くの作物で、アミロースは種子貯蔵デンプンの 20〜30%を、アミロペクチンは 70〜80%を占めている。高アミロースデンプンはアミロースが 50%以上のもの。」
*出展:レジスタントスターチの栄養・生理機能 日本調理科学会誌 Vol. 47,No. 1,49~52(2014)
レジスタントスターチを含む食材とは?
レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)は、芋類や豆類に含まれるとされています。イメージ | 食材 |
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グリーンバナナ |
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カボチャ |
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アカインゲン |
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サツマイモ |
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ヤマイモ |
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サトイモ |
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黒大豆 |
まとめ
腸内細菌の割合は人それぞれ異なります。レジスタントスターチは、ルミノコッカスが好んで食べるプレバイオティクスです。
プレバイオティクスは、腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などの食品成分です。
レジスタントスターチを好むルミノコッカスの割合も個人差があるため、自分の腸内でルミノコッカスが「多いのか」「少ないのか」また、他にどの腸内細菌が多いのかは、腸内フローラの検査で確認することができます。
さらに、腸内フローラのタイプによって「睡眠に問題がある」「定期的に運動をしている」といった特徴がみられることもわかっています。健康的な生活を送るためにも、ぜひ一度、自分の腸内フローラを調べてみませんか?
*腸内フローラのタイプの紹介はこちら
*出展:公益財団法人腸内細菌学会 用語集 プレバイオティクス(prebiotics)
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